暮らしと住まいのコラム Columns

ただ広いだけはもう古い?暮らしに深みを与える「リビング以外の“新空間”」という選択

2026.04.06

なぜ今、「自分だけの居場所」が求められるのか。

家づくりの中心といえば、家族が集う「リビング」。広々とした開放的なLDKは、今も昔も変わらず多くのご家族が憧れる空間です。しかし、ライフスタイルが多様化し、”おうち時間”の価値が見直されるようになった今、「リビングで一緒に過ごす時間」と同じくらい、「リビング以外の場所で過ごす、個々の時間」の重要性が高まっています。

在宅ワークで集中したい。趣味に没頭したい。リビングの喧騒から離れて、静かに本を読みたい。など、家族の気配を感じながらも、それぞれが自分の好きなことに集中できる。そんな「ちょうどいい距離感」を生み出すための”小さな居場所“が、暮らしに心のゆとりと豊かさをもたらしてくれるのです。

弊社は、「デザインと性能をあきらめない、あたらしい家づくりのカタチ」を追求する工務店です。ただ間取りを当てはめるのではなく、お客様一人ひとりの暮らしの物語に耳を傾け、日々にささやかな喜びと発見をもたらす「+αの空間」をご提案しています。

今回のコラムでは、これからの家づくりの新しいスタンダードになりつつある「リビング以外の新空間」に焦点を当て、その代表格である「ヌック」「半個室」「在宅ワークスペース」の魅力と、後悔しないための計画のポイントを、豊富な実例イメージと共にご紹介します。

暮らしが変わる「+αの空間」。その3つの価値とは?

かつての家づくりでは、LDKをいかに広く見せるかが重視されがちでした。しかし、ただ広いだけの空間は、時に落ち着きがなく、どこに身を置けばいいのか分からない「居場所難民」を生み出してしまうことも。

そこで私たちがご提案したいのが、リビングを中心としながらも、意図的に「小さな居場所」を散りばめるという考え方です。これら「+αの空間」がもたらす価値は、大きく3つあります。

1.  心理的な「安心感」と「集中」

人間は、広すぎる場所よりも、少し囲まれた空間にいる方が本能的に安心感を覚えると言われています。壁や天井にほどよく囲まれた空間は、カフェの隅の席のように、不思議と落ち着き、物事に集中させてくれます。

2.  空間の「メリハリ」と「奥行き」

家のなかにあえて天井の低い場所や、少し狭まった場所をつくることで、視覚的な変化が生まれます。これにより、隣接するリビングがより広く感じられたり、家全体に奥行きが生まれたりと、空間に豊かな表情を与えてくれます。

3.  家族の「ちょうどいい距離感」

完全に独立した個室ではなく、リビングとゆるやかにつながる小さな空間は、家族がお互いの存在を感じながら、それぞれの時間を過ごすことを可能にします。干渉しすぎず、孤立もしない。そんな現代の家族にフィットした、心地よい距離感を育みます。

「+αの空間」代表格を見ていきましょう!

1.こもり感がたまらない、多目的スペース「ヌック(Nook)」

最近、雑誌やSNSで「ヌック」という言葉を目にする機会が増えたのではないでしょうか。ヌックとは、スコットランド語の「Neuk(ヌーク)」が語源で、「人目につかない隅っこ」「こぢんまりとした居心地のいい場所」といった意味を持つ建築手法です。

明確な定義はありませんが、一般的にはリビングの一角や階段下などに設けられた、2~3畳ほどの小さなスペースを指します。まるで秘密基地のような、特別な”こもり感”が最大の魅力です。

ヌックの多彩な使い方

読書スペースとして:窓辺にヌックを設け、柔らかな光の中で読書にふける。これ以上ない贅沢な時間です。壁にブックシェルフを造作すれば、お気に入りの本に囲まれたライブラリーコーナーになります。

コーヒーブレイクの場所に:お気に入りのマグカップを片手に、ソファとは少し違う景色を眺めながらほっと一息。日常のなかに非日常の特別感をもたらします。

お子さんの遊び場・お昼寝スペースとして:リビングから目の届く範囲にあるヌックは、お子さんの安全な遊び場に最適です。おもちゃがリビングに散らかりにくいというメリットも。小さなマットレスを敷けば、格好のお昼寝スペースにもなります。

ちょっとしたゴロ寝スペースに:ベンチの奥行きを少し広めに設計すれば、大人が足を伸ばしてくつろげるデイベッドに。休日の午後に、ついウトウトしてしまう心地よさは格別です。

どこにつくる?ヌックの設置場所アイデア

リビングの窓辺:最も人気の配置です。外の景色を眺めながら過ごせる、明るく開放的なヌックになります。庭の緑や空の青を切り取る「ピクチャーウィンドウ」との相性は抜群です。

階段下・踊り場:デッドスペースになりがちな階段下を有効活用する定番のアイデア。天井が低くなるため、より”おこもり感”が増し、落ち着いた空間になります。

スキップフロアの脇:中二階などのスキップフロアを設ける際、その段差を利用してヌックをつくることもできます。空間に立体感が生まれ、家全体が楽しくなります。

リビングとダイニングの間:空間のゾーニングを兼ねたヌック。腰掛けるベンチとして、ダイニングチェアの代わりにもなり得ます。

2. ゆるやかにつながる、万能空間「半個室(スタディスペース/趣味コーナー)」

完全な個室は必要ないけれど、リビングの真ん中で作業するのは少し集中しづらい…。そんなニーズに応えるのが「半個室」という考え方です。壁やドアで完全に仕切るのではなく、格子や垂れ壁、段差などでゆるやかにエリアを区切った空間を指します。

「半個室」のメリット

集中とコミュニケーションの両立:リビングにいる家族の気配を感じ、会話に参加することもできる一方で、視線が適度に遮られるため作業に集中できます。お子さんが宿題をしている時も、親は家事をしながら質問に答えたり、様子を見守ったりできます。

圧迫感のないゾーニング:壁がないため、空間の広がりを損ないません。光や風が通り抜け、家全体の一体感を保つことができます。

ライフステージの変化に対応:お子さんが小さい頃はキッズスペース、学生になったらスタディコーナー、独立後は夫婦の趣味の部屋に…というように、家族の成長に合わせて使い方を変えていける柔軟性も魅力です。

「半個室」をつくる具体的なテクニック

スキップフロア/小上がり:リビングの床を一段上げたり(小上がり)、半階ずらしたり(スキップフロア)することで、壁がなくても空間を明確に分けることができます。小上がりの段差部分は、引き出し収納にすることも可能です。

格子やルーバー、ガラスの室内窓:視線は遮りつつも、光や気配は通すことができます。アイアンや木など、素材によって空間の印象が大きく変わり、デザインのアクセントとしても非常に効果的です。

垂れ壁/袖壁:天井から少し壁を垂らしたり、壁の端を少し伸ばしたりするだけでも、空間の「領域」を意識させることができます。アーチ状の垂れ壁(下がり壁)などは、空間を柔らかく演出し、人気があります。

造作カウンターデスク:キッチンカウンターの延長や、壁際に長い一枚板のカウンターを設置するだけで、立派なスタディスペースやPCコーナーになります。椅子を2つ置けば、親子や夫婦で並んで使うこともできます。

3. 集中と切り替えをデザインする「在宅ワークスペース」

コロナ禍を経て、私たちの働き方は大きく変わりました。在宅ワークが当たり前になった今、家づくりにおいて「ワークスペースをどう確保するか」は非常に重要なテーマです。ダイニングテーブルでの作業は、食事のたびに片付けが必要だったり、家族の生活音で集中できなかったりと、多くの課題を抱えています。

快適な在宅ワークを実現するためには、仕事のON/OFFを切り替え、集中できる環境を計画的にデザインすることが不可欠です。

ワークスペースの3つのタイプ

ご自身の仕事内容や家族構成に合わせて、最適なタイプを選びましょう。

オープンタイプ(リビング・ダイニングの一角)
前述の半個室のように、LDKの一角にカウンターなどを設けるスタイルです。
【メリット】省スペースで実現可能。家事をしながら、子どもの様子を見ながら仕事ができる。
【デメリット】生活音が気になる。Web会議の際に家族が映り込んだり、背景が気になったりする。

★ 半個室タイプ(ゆるやかに区切る)
リビングなどとつながりつつも、書斎コーナーとして少し奥まった場所や、仕切りのある場所に設けるスタイルです。
【メリット】オープンタイプの良さを残しつつ、より集中しやすい環境をつくれる。
【デメリット】音の問題は完全には解決しにくい。

個室タイプ(独立した書斎)
2~3畳程度の広さでも、ドアで完全に仕切られた書斎を設けるスタイルです。
【メリット】最も集中できる。音漏れやWeb会議の背景を気にする必要がない。究極の「自分だけの城」。
【デメリット】ある程度の面積が必要。家族とのコミュニケーションが取りにくくなる場合がある。

後悔しない!ワークスペース計画の重要ポイント

場所の選定: Web会議が多い方は、背景がすっきり見える壁際や、生活動線から外れた場所がおすすめです。窓からの光がPC画面に反射しないか、エアコンの風が直接当たらないかなども考慮しましょう。

完璧なコンセント・ネットワーク計画: PC、モニター、スマホ充電、デスクライトなど、必要な電源の数を洗い出し、最適な位置に配置します。有線LANのポートを設けておくと、安定した通信環境が確保できます。

収納計画:書類やプリンター、文房具などをすっきりとしまえる収納は必須です。デスク上の壁面に棚を造作したり、デスク下にワゴンが収まるスペースを確保したりと、使い方に合わせた計画が重要です。

照明計画:部屋全体の明かり(主照明)だけでなく、手元をしっかり照らすデスクライトや、空間を落ち着いた雰囲気にする間接照明を組み合わせることで、目の疲れを軽減し、集中力を高めることができます。

あなたの暮らしに「余白」と「深み」を

今回ご紹介した「ヌック」「半個室」「在宅ワークスペース」は、単なる追加の部屋ではありません。それは、日々の暮らしに「余白」を生み出し、家族との時間、そして自分一人の時間に「深み」を与えてくれる、いわば暮らしへの投資です。

– 家族みんなが集う広々としたリビング。
– 窓辺のヌックで、一人静かに本を読む時間。
– 半個室のカウンターで、子どもの宿題を隣で見守る夕暮れ。
– 書斎にこもり、仕事に没頭する静かな夜。

家の中に、そんな風に目的を持った「お気に入りの場所」が点在している暮らしを想像してみてください。きっと、今まで以上に家で過ごす時間が愛おしく、豊かなものになるはずです。

株式会社GATEでは、お客様との対話を何よりも大切にしています。あなたがどんな時間を大切にしたいのか、どんな空間に心惹かれるのか。その想いを丁寧にお伺いし、デザインと性能を両立させながら、世界に一つだけの「あなたのための居場所」を形にしていきます。

愛知県春日井市・名古屋市、またその周辺地域で、暮らしをより豊かにする家づくりをご検討中の方は、ぜひ一度、私たちGATEにお気軽にご相談ください。専門の知識と豊富な経験を持つスタッフが、皆様の理想の暮らしづくりを全力でサポートいたします。

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